日曜日に観たいこの1本
ライオン 25年目のただいま
実話の映画化。5歳のインド人の少年サルーは、母と兄、幼い妹の4人家族。家計を助けたいと兄に無理を言って街に出たが、眠くなり、駅のホームのベンチで眠り込んでしまった。目が覚めたが兄がいない。偶然止まっていた回送列車に乗ったところ、汽車が発車してしまい、着いた都市カルカッタで一人ぼっちになってしまった。
ストリートチルドレンとなって路上生活をするようになったサルーはなんども危険な目にあう。やがて施設に収容されたサルーの元に養子縁組の話が来る。里親はオーストラリアの夫婦で、インドの田舎町から迷子になったサルーは海を渡ってオーストラリアで暮らすことになった。
里親となった夫婦は愛情深く何不自由のない生活と教育を与えてくれた。成長したサルーは大学へ進学。同じクラスのルーシーとつきあうようになった。
しかし、大学の仲間たちと語り合っていた時に友達が発した「グーグル・アース」を使えば故郷が見つかるかも、という一言が、サルーの封印していた気持ちに火をつける。
自分の故郷はどこなのか。インドの家族に会いたい。育ての親に気を使って、抑えてきた気持ちが抑えられなくなる。
おぼろげな記憶を手掛かりに、グーグル・アースで故郷を探すサルー。しかし没頭するあまり、恋人のルーシーや家族ともうまくいかなくなってしまう。サルーは果たして故郷を探し出せるのか。
インドの場面で、迷子になった子供に対する大人の無関心さにはちょっと驚いた。近づくのは、人身売買かなにかを目的とした大人ばかり。インドでは年間に8万人もの子供が行方不明になるという。
ニコール・キッドマン演じる育ての母親スーが恵まれない子供を引き取った理由をサルーに話す場面が後半に出てくるが、その言葉に驚きと感銘を受けた。
5歳のサルーを演じるのは何千人もの中から選ばれたというサニー・パワールというインド人の少年。成長したサルーは「スラムドッグ・ミリオネア」で主演したデヴ・パテル、恋人のルーシーはルーニー・マーラが演じている。
【戸田 照朗】
監督=ガース・デイヴィス/出演=デヴ・パテル、ルーニー・マーラ、ニコール・キッドマン、デヴィッド・ウェンハム、サニー・パワール、アビシェーク・バラト、ディープティ・ナバル、プリヤンカ・ボセ、ディヴィアン・ラドワ/2016年、オーストラリア、アメリカ、イギリス
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「ライオン 25年目のただいま」、DVD・ブルーレイ発売中、ギャガ株式会社