昭和の杜博物館に壁画
独出身の芸術家コロゾィーさん

壁画の前でナディーン・コロゾィーさん(一般社団法人PAIR提供)

 松戸駅前の芸術家滞在施設PARADISE AIR(パラダイス・エア)に1か月滞在していたアーティスト、ナディーン・コロゾィーさんが昭和の杜博物館(紙敷)の全長約30mにわたる白い外壁に黒いマーカーでイラストを描いた。
 ナディーン・コロゾィーさんはドイツ・ベルリン出身のヴィジュアル・アーティスト。日常の風景からインスピレーションを受け、コラージュなどの手法を用いて彩り豊かな作品制作に取り組んでいる。
 来日は4年間で4度目。日常生活で使われる様々な道具に見られる日本人の細かいものへのこだわりに興味があり、作品のインスピレーションを得てきた。今回は松戸のほかに渋谷、下北沢、品川のフリーマーケット巡りをした。現代の道具であるスイカなどのICカードにもかわいいイラストが描かれていることが面白いという。
 滞在中は日の出の時間に江戸川を散歩した。見慣れない水鳥に出会い、河川敷を散歩する人たちが気軽に声をかけてくれた。物事を考えるのにとてもいい時間だったという。松戸は都市のすぐ近くに自然があっていいと話す。
 昭和の杜博物館は館長の吉岡光夫さんが長年かけて集めた昭和の乗り物や道具、弊紙のコラム「昭和から平成へ」の著者である根本圭助さんの師・小松崎茂の挿絵などを展示している。壁画を描くにあたり、コロゾィーさんは小松崎茂が描いた未来の空想画にインスピレーションを受けて、1970年代の子ども向け番組のヒーローのようなイラストを描いている。イラストは向かって左端が1970年代で、右に行くにつれ時間が現代に近づくように描かれているという。同館に行くときに時間をたどるように見て欲しいという。
 壁画は4月19、20日の2日間で描かれた。急に話が決まったために、時間がなかったが、できればAR(拡張現実)の手法でスマホをかざすと色彩が現れるようにしたかったという。また来日の機会があれば、加筆したいという。壁画は4月24日にお披露目されたが、コロゾィーさんは同日に上海経由で帰国の途についた。5月上旬にはニューヨークでイラストを描く予定だという。
【戸田 照朗】

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